ペットとして飼われているセキセイインコは、比較的肥満になりやすい傾向があります。
肥満になると、体が重くて飛べなくなったり、足を痛めたり、動脈硬化や肝機能障害などさまざまな病気に繋がります。人間と同じように、健康に過ごすためには肥満は早急に解決すべき問題です。
インコの肥満を見極めよう
セキセイインコの適正体重
- 40g以上…太り過ぎ
- 40〜35g…がっちり
- 35〜30g…普通
- 30〜25g…痩せている
- 25〜20g…痩せすぎ
骨格の大きさは個体により違うので、体重はあくまでも目安です。
その鳥に見合った適正体重があるので、普段から体重測定を習慣にし、普段の体重を把握しておくことが大切です。
肥満により表れる体の変化
体重以外にも、見た目で分かることもあります。
- 胸やお腹が膨らむ
- あまり飛ばなくなる
- 便秘や下痢になる
他の病気の可能性もあるので、「肥満かな?」と思ったらまずは病院に行き獣医の判断に従いましょう。
わが家のインコの場合
うちのインコはさし餌をしていたころから40gはあったので、恥ずかしながらあまり肥満を意識していませんでした。
生後半年を過ぎた頃から徐々に体重が増えはじめ、45gを越えたあたりで「もしかして肥満かもしれない」と思いましたが、太っているというだけで病院に行くのも過保護かなと躊躇していました。
今思えば、はやく病院に行っておけば良かったです。
50gが近づくにつれて、お腹がぽっこり膨らみ、糞がおしりに付くことが多くなり、足でお尻をかくような仕草をするようになりました。
さすがに心配になり、病院に行ったところ「肥満」と診断されました。
インコが肥満になる原因
インコが太ってしまう原因は大きくわけて以下の3つです。
- 病気が原因
- 加齢による代謝の低下
- 食べすぎ
病気が原因
ヨード不足で起こる「甲状腺腫」や「甲状腺機能低下症」という病気にかかると、代謝が低下し肥満になります。
ヨードは甲状腺ホルモンの成分となるミネラルで、ボレー粉やカットルボーンに含まれていますが、それだけでは必要量は摂取できません。
そのため、日常的にヨード(ヨウ素)を含むサプリメントで補ってあげるようにします。
獣医師から推奨されたのは、Produkte社の「ネクトンS」とベタファーム社の「ソルベット」です。健康なときも毎日、飲み水に溶かして与える方がいいとのことです。(ペレット食の場合は過剰摂取になるので必要ありません)
加齢による代謝の低下
インコも人間と同じように、年をとると運動量が減り代謝が悪くなります。
今までと同じ量を食べていても太ってしまうこともあるので、脂肪分の高い餌は控え「老鳥用」の餌に切り替えるなどして様子を見ます。
食べ過ぎ
インコの肥満のほとんどが「食べ過ぎ」によるものだそうです。
ほとんどのご家庭で、ケージの中に1日〜2日分ほどの餌を入れっぱなしにしていると思います。
通常セキセイインコは、1度にたくさん食べるのではなく、自分でペース配分をしながら1日に必要な量を数回にわけて摂取します。
だけど太っているインコは、さまざまな理由からペース配分を誤り食べ過ぎてしまうようです。
安全なダイエットの方法
まずは肥満の原因が過食なのか、病気なのか、必ず病院で診てもらいましょう。
急激な食事制限は脂肪肝を招くこともあるため、獣医師の指導のもと慎重に行う必要があります。
生活環境を見直してみよう
まずは「太りやすい環境」になっていないか、見直してみましょう。
こんな環境は太りやすい
- おやつをケージの中に入れっぱなし
- 脂肪分の多い餌を与えている
- 放鳥時間が短い
- クリッピングしている
- 睡眠時間が短い
- 食べること以外の楽しみがない
主食の他に、「粟の穂」や「かじりま専科」などのおやつをいつも与えているなら、おやつをやめるだけで肥満が解消されることもあります。おやつの代わりに、青菜はたくさん食べても大丈夫です。
主食も脂肪分が多い「カナリーシード」や「オーツ麦」が入っていないものに切り替えてみましょう。
起きている時間が長いと、それだけ活動量も増えお腹が空きます。野生のインコと同じように、外が暗くなったら早めに寝かせるようにしましょう。
運動量が少ないようなら、放鳥時間を増やしたり、ケージの中にも遊べるオモチャを入れてみます。
クリッピング(飛べないように羽を切ること)をしていると、飛べないぶん運動量が落ちるので太りやすくなります。
食事制限でダイエットをする方法
【ステップ1】体重と1日に食べている量を知る
毎朝、餌を入れる前にインコの体重を量り記録します。
餌入れに餌を入れ、重さをはかります。そして24時間後、殻を取りのぞいて重さをはかり、前日から何g減っているか割り出します。
日によって多少の差が出るので、5日ほど測定し平均を出します。
体重測定には0.1gから測れるキッチンスケールがオススメです。
【ステップ2】1日の摂取量からスタート
鳥が1日に必要な食物摂取量は体重の10%といわれています。40gのインコなら4gです。肥満のインコはおそらくそれ以上食べていると思うので、まずは今の摂取量からはじめます。
ステップ1で割り出した摂取量が6gの場合、朝3g、夕3gなど2〜3回に分けて餌を入れます。
次の日餌が余っていたら、殻を取りのぞいて残量を量り、何g減ったか毎日記録します。
※粟の穂などのおやつは与えないようにします。青菜は摂取量に含みません。
【ステップ3】体重が減らなければ餌を減らす
体重の減少は「3日で1g」を目安にします。
ステップ2を3日続けて、4日目に体重の減少が見られない場合、餌を2〜3割減らします。
さらに3日経っても体重が減らなければ、もう1割減らします。体重が「3日で1g」より早いペースで落ちている場合は餌の量を増やして調整します。
1日の摂取量を3.5gまで減らしても体重が減らない場合は、別の病気の可能性があるためすぐに獣医師に相談してください。
1日の摂取量は3.5g以下まで下げないようにしてください。
【ステップ4】体重を維持する
目標体重になったら、これ以上餌の量は減らさずに体重を維持します。しばらく体重が維持できるようになったら、少しづつ餌の量を増やして「リバウンド」しないか確認します。
リバウンドしなければ、食事制限をやめます。また太ってしまうようなら引き続き食事制限を続けていくことになります。
ダイエットの注意点
- インコの負担にならないように、1gの減量に3日以上かける。
- いきなり餌の量を減らしすぎない。
- 食欲不振やその他の異常があった場合は、すぐに獣医師に相談する。
うちのインコは半年以上かけて、50gから38gまでの減量に成功しました。
今はおやつもたまにあげていますが、なんとか37g〜39gをキープしています。それでもまだ、食べ過ぎないように朝昼晩の3回に分けて餌をあげています。
減量中は、空腹で餌に飛びつく姿がかわいそうで何度もくじけそうになりましたが、心を鬼にしてがんばりました。インコちゃんのためにも、飼い主が気を引き締めなくてはいけないですね。