ペットショップで入手できるセキセイインコの雛は、生後3週〜4週間くらいが多いと思います。
この時期の雛から育てると、飼い主にべったりの手乗りインコにすることができますが、雛は免疫力が低く、体力もあまりないので細心の注意を払ってお世話をすることになります。
温度管理やさし餌など大変なこともありますが、毎日少しづつ成長していく過程を見ていると我が子のように愛着が湧いてきます。
育て方をしっかり学んだ上で、ぜひセキセイインコの雛の飼育に挑戦してみてください。
セキセイインコの雛を購入するときの注意点
信頼できるお店で購入する
インコの雛を購入するときは、清潔でインコの飼育に詳しい店員さんがいるお店を選ぶようにしましょう。
ごくまれに、冬なのに保温なしで寒い場所にケージを置いていたり、狭いケージに鳥たちがぎゅうぎゅう詰めに入れられているような店もあります。動物に愛情のないお店は、不衛生だったり、病気を持っていたり、不適切な価格で販売していたりします。
お店の環境をよく観察して、安心できるところで雛を購入してください。
お店を選ぶ際のチェックポイント
- 清潔である(店内や鳥かごの中がきれいに掃除されている)
- 店員が鳥に詳しい(飼育方法、性別、生年月日などを店員に聞いてみよう)
- 販売価格が適切である(格安すぎる場合は何か問題があるのかも)
セキセイインコの雛の値段は、1羽1,000円〜3,000円が相場です。うちのピーちゃんは1,800円でした。
元気な雛を選ぶ
家に連れ帰った後でトラブルにならないように、元気な雛を選ぶようにしましょう。
元気な雛の見分け方
- エサをよく食べる
- 体が汚れていない
- 歩き方に問題がない
はじめて鳥を飼う場合は見極めが難しいので、店員さんに「一番元気な子をください」と言って選んでもらうのもありです。
与えているエサや生まれた日を聞いておこう
与えているエサが変わると食べないインコもたまにいるので、与えているエサの種類、エサの与え方(作り方)、与える時間や回数は聞いておきましょう。
また、「生後何週間か」も聞いておくと、大人のエサに切り替えるタイミングなどがわかりやすくなります。
セキセイインコの雛は、生後1ヶ月を過ぎたあたりから、少しずつひとりでエサが食べられるようになります。
それまでは、毎日数時間おきに雛用のエサを作って与えなくてはいけません。(さし餌と言います)
もしも、雛の飼育に不安があるなら、生後1ヶ月以降のひとりでエサを食べられるようになった「中雛」をお迎えしてください。
ペットショップでさし餌で育てられていたインコなら、中雛でもよく懐きます。手乗りになるか、店員さんによく確認してから購入するようにしましょう。
雛の飼育に必要なもの
プラケース
飼育用のケースは、昆虫などに使うプラスチックのケースが最適です。温度管理がしやすく、中の様子もよく見えます。
プラケース、床材、さし餌スプーンと器、T字の止まり木がセットになっている商品もあります。お買い得!
床材
細かくちぎったキッチンペーパーでも代用できますが、ハムスターなどに使うウッドチップの方が保温効果があるのでおすすめ。
雛のフンは水分が多いので、吸水性のあるものを使います。新聞紙はあまり水を吸わないのでむいていません。タオルなどの布は爪が引っかかりやすいので、ダメです。
雛用のエサ(粟玉、フォーミュラ)
粟玉(あわだま)は、殻をむいたアワに卵黄をまぶしたものです。
粟玉だけだと栄養がかたよるので、必ず「フォーミュラ」という栄養たっぷりのパウダーフードと混ぜて与えます。
さし餌スプーン
さし餌を与えやすいスプーンは、くちばしの形に沿って先が細くなっているものです。
スポイトタイプのものは、口がパカッと開く文鳥などに使います。インコはスプーンです。
温度計
プラケースの中の温度をはかるものと、さし餌の温度をはかるものが必要です。温度計はできるだけ雛の近くに設置しましょう。
さし餌は熱すぎるとヤケドしてしまうし、冷めていると体が冷えてしまいます。必ず温度計で40度にしてから与えます。
ペット用ヒーター
保温電球タイプのものは、ヤケドしないようにプラケースの外側に設置します。
パネルタイプのものはプラケースの下に敷きます。暑くなったら雛が自分で逃げれるように、ケースの半分だけにヒーターを敷くようにします。
サーモスタットをヒーターにつないでおくと、暑くなりすぎると勝手に消えるので夜も安心して眠れます。ケースにタオルをかけているとすぐに温度が上がってしまうので、サーモスタットは必需品です。
成鳥になっても冬の温度管理で使うので、ぜひ買ってくださいね。
成長にあった飼育をしよう
生後3週間(生後21日〜)
雛の様子
全身がふわふわの綿羽に覆われ、翼や尾羽に色が出はじめます。体重は35gほど。1日の大半を寝て過ごします。
くちばしが黒くなっていることもありますが、成長するにつれて消えていきます。
さし餌は1日4〜5回
朝7時から夜10時くらいまでの間に、3〜4時間間隔で、1日4〜5回さし餌を与えます。
雛はお腹が空いていると、餌を求めて「ピヨヨヨヨ〜」と必死に鳴きます。雛が鳴き止み、餌を食べなくなったら満腹の合図です。
このとき、そのう(のどから胸のあたり)が膨らんでいることを確認します。
温度は30度
この時期の雛は、親やきょうだいと暖め合って体温を維持しますが、一羽になるとすぐに体が冷えてしまいます。
温度は30度を目安にし、膨らんでいたり震えているようなら、温度を少し上げます。湿度は60〜70%が理想です。
プラケースでしっかり保温
餌をあげるとき以外は、雛に触らないようにし、ケースにタオルをかけて薄暗くします。
床材はキッチンペーパーをちぎったものや、ウッドチップを2cmほど敷きます。分厚く敷くことで保温効果もあります。
フンで汚れたところはさし餌の時に取り除き清潔にします。
写真は生後4週前後。まだ綿羽が残っています。
生後4週間(生後28日〜)
雛の様子
全身に色のついた羽が生え揃います。風切羽根と尾羽はまだ短く、全体的に丸っこい印象です。体重は37gほど。翼をバタバタして飛ぶ練習をはじめます。
さし餌の時に暴れたり走り回ったりすることも。お湯や危ないものに近づかないように気をつけて。
さし餌と合わせて撒き餌も
引き続き1日4〜5回のさし餌を継続します。あわせて乾いた粟玉(またはムキアワ)を床にパラパラとまいて雛が食べるか確認します。
まいた餌を食べるようなら、乾いた粟玉を床に撒いたり浅い皿などに入れてケース内に置いておきます。 粟玉を問題なく食べていれば、大人用の殻付き餌も撒いたり小皿に入れておきます。
大人用のエサを食べているなら、さし餌の回数を1回減らして、次の日体重が減っていないか確認します。
温度は雛の様子を見ながら
28〜30度を保ちます。羽を膨らませて寒がっているようなら、温度を上げて様子を見ます。
暑い時は口をパクパクさせたり、翼を浮かせてワキを見せるような仕草をします。雛の様子を見ながら温度を調節します。
止まり木の練習をしよう
ケースの中でバタバタしたり、活発に動き回るようなら、床材はウッドチップではなくキッチンペーパーにし、乾いた餌を床に撒いておきます。
低めの止まり木を入れておくと、止まり木に止まる練習になります。
小さな止まり木は体重測定のときにも使えて便利です。
さし餌の様子。満腹になって食べなくなるまで与えます。
生後5週間(生後35日〜)
雛の様子
風切羽根が背中でクロスするくらいまで伸びてきます。
見た目はほとんど大人のインコと変わりません。飛べるようになってくると、運動量も増え、一時的に体重は減ります。35g前後。
ある日突然飛びだすこともあるので、危ないものは片付け、窓にはカーテンを引いておきます。
さし餌からひとり餌へ
数日かけてさし餌の量と回数を減らしていきます。ケースの中には、乾いた粟玉、皮付きの混合シード、水を入れておきます。(ペレット食にする場合はペレットも)
皮付きのシードをよく食べるようなら粟玉は撤去します。食いつきが悪い場合は、粟の穂を入れておくと遊びながら食べ方を覚えます。
粟の穂は、自然の状態の粟で、セキセイインコの大好物です。
粟の穂しか食べなくなると栄養バランスが良くないので、食べ過ぎるようなら撤収して、混合シードを食べるように誘導しましょう。
ケージデビューの準備
飛べるようになりひとりで餌も食べられるようになったら、成鳥用のケージに移します。
はじめはケージの床で過ごせるように、ふんきり網をはずして新聞紙を敷き、浅めの小皿などに入れた餌と飲み水を置きます。止まり木は低い位置に設置します。
ケージに慣れるまでは、まずは1時間だけ、または昼間だけなど少しづつ様子を見ながら移行していきます。
寒い時期はプラケースからケージに移すことで、急な温度変化により体調を崩すこともあります。ケージに移っても30度前後を維持できるように、温度管理には十分気をつけるようにしましょう。
しばらくは床で過ごしていることが多いかと思いますが、1日中止まり木の上で過ごし、ケージ内を自由に移動しているようなら、成鳥用のレイアウトにしても構いません。
この時期の雛は腹ばいになって寝ることも。大人になると止まり木の上で立ったまま寝ます。
生後2〜5ヶ月
反抗期があります!
自我が芽生え、親(飼い主)から自立しようとします。この時期は触られることを嫌がったり、急に噛み付いたり、いわゆる「反抗期」に入ります。
一時的なものなので、温かい目で見守ってあげてください。
好奇心いっぱい
いろんなものに興味を持ちはじめ、たくさんのことを吸収します。
いろんなおもちゃで遊んであげ、いろんな野菜を与えましょう。水浴びもはじめてみましょう。遊びの延長ですんなり受け入れる可能性が高いです。
いざという時に備えて、通院用のキャリーケースに慣れさせたり、爪を切るときのために保定(インコが動けない捕まえ方)の練習もこの時期からはじめるといいでしょう。
はじめての換羽
雛の羽が成鳥の羽へと生え替わる「雛換羽」を迎えます。
翼や尾羽の大きな羽も抜けるので心配になりますが、通常、数週間〜1ヶ月ほどで終わります。
まとめ
上記は一例です。成長の早い子もいれば、遅い子もいます。
さし餌から一人餌に切り替わるタイミングも個体差があります。通常は生後35日〜90日の間に切り替わることが多いみたいです。
インコの様子を見ながら、焦らず少しづつ切り替えるようにしましょう。
雛の時期はあっという間です。毎日のお世話を楽しんでください。